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近頃では、もっとも気にかかる症状のひとつとしてあげられる皮膚トラブル。
一過性のものもあれば、アレルギーやアトピーなど体質改善が望まれるものまでいろいろあって、
原因はもちろん治療法もいろいろ…。

なるべく薬に頼らずに皮膚トラブルを改善していくためにできる事はないかな・・・と
常に考えているBSKスタッフを代表して、丁寧なカウンセリングや食事指導がとっても嬉しいと評判の
世田谷松陰神社から程近い『ペットホテル&クリニック FILOU(フィルウ)』の紺谷有子先生にお話を伺ってきました!



BSKスタッフCHIAKI(以下BSK): 
先生、こんにちは。
ブラックストリームケンネルでは、この時期に多くなる「皮膚トラブル」についてを取り上げたキャンペーンを行い、
皮膚トラブルの原因や飼い主さんにもできる手当てなどを提案していこうと考えています。
そこで、みんなが頼りにしている獣医さんにもお話を伺って、より知識を深めてもらえたらなあと思っています。


さっそくですが、夏以降は毎年BSKでも皮膚トラブルの相談が増えたり、獣医さんにかかって
フードを変えたりするワンコが増えるような気がするのですが、やっぱり動物病院でもご相談が増える時期ですか?



紺谷先生: 
そうですね。暑い季節は体に溜まったものが出やすい時期で、皮膚の状態が見た目に悪化しやすいのですが、夏に悪くなって皮膚状態が悪くなってしまったところで、回復する間もなく冬の乾燥の季節になってしまって・・・という状況を繰り返してしまうワンちゃんもいますね。

この時期はちょうど季節の変わり目という事もあって、これから寒い冬に向けて体は準備を始めます。秋の旬の食べ物は冬の寒さに耐えられるカラダ作りができるように栄養価が高く、体を温めるものが増えてくることでもわかりますね。そうして秋のうちにきちんと夏から脱して体をチェンジしていかないと、「体が冷えている状態」がずっと続いてしまいます。
秋は、体を温める時期に入ったことを意識したい時期ですね。


BSK: 
皮膚トラブルにもいろいろありますが、よくある主な原因はどんな事でしょうか?


紺谷先生: 
皮膚トラブルとはいっても原因はさまざまで、ひとつではないという事を前提にお話しますが、食べ物による影響を感じる事は多々ありますね。
保存料や添加物が多かったり、酸化していたりして痛んでしまっているなど、ドッグフードが原因のひとつになってしまっている場合もあります。


また、体の代謝が「冷え」により鈍ってしまうことで、排泄不良を起こしていることもあります。


BSK:
 
その「排泄不良」について、もう少し詳しく教えてください。




紺谷先生: 
本当に大まかですが、食べたものは栄養素となり、体をめぐって体の隅々の細胞にまで行き渡り、そして細胞は必要なものは取り込んで、いらないもの(老廃物)は捨てるという作業をしながら私たち動物は生きています。
その中で、いらないものを十分に体の外に出せない状態を排泄不良といいます。

体の中で一番大切な排泄ルートは、腎臓です。この腎臓の働きで、老廃物はオシッコと一緒に体の外に排泄されます。
ですが、何らかの事情があって十分に腎臓から排泄ができないと、吹き出物や湿疹などになって皮膚や粘膜から出そうとするので、これが皮膚トラブルといわれてしまうことがあるんですね。
でも、これは必要のないもの、余分なものを体に溜め込まないように、皮膚や粘膜から出そうと頑張っている証拠なんです。つまり、これらの排泄の症状であれば、出し切れば治まります。

皮膚トラブルは見ていて不快な症状も多いのでかわいそうに思って思いつめてしまう飼い主さんも少なくありません。
でも、『出るものは出す』、『出さなければいけないから出るんだ』という観念を持つ事もとても大切です


BSK: 
皮膚トラブルにならないために、普段から気をつけたほうがよいことがあれば教えてください。


紺谷先生:
排泄不良という観点から言えば、体にとって一番負担の少ないオシッコから出すという事を心がける事が大切ですね。そこからちゃんと出さないと、他の部分から出そうとしますので。
水分を十分補ってあげてください。水分補給の目安としては、濃いオシッコを出さないように気をつけるとよいと思います。
また、運動不足は、代謝の低下だけでなく、水を飲まなくなる原因にもなりますし、代謝が悪くなることで手足先の冷えの原因にもなり、その結果酸素や栄養素が隅々に行き渡らなくなるため、よい細胞を作る妨げにもなります

それと、食べ過ぎにも注意が必要です。単に肥満防止という事だけでなく、食べれば食べるほどその分少なからず悪いものを取り込むことにもつながるわけです。
それに、食べ過ぎは少なからず腸にも負担をかけることになります。

それと、あまり重視されていないようですが、ワンちゃん自身のストレスだけでなく、飼い主さん自身のストレスなどが大きく皮膚状態に影響する事も経験しています。
飼い主さんご自身がストレスなどを溜め込まず心の健康を保つ事も普段から気をつけたいことのひとつです。



BSKスタッフCHIAKI(以下BSK): 
最近では「アレルギーは一生付き合わなきゃいけない」といわれて、食事に困っている飼い主さんがたくさんいます。
私は治っているコを見ているので、そうは思わないんですが・・・
つい最近も「治りました!」というご報告を受けて、スタッフみんなで喜んだところなんです。先生はどう思いますか?



紺谷先生:
私も治っているワンちゃんをたくさん目にしているので治らないということはないと思っています。
アレルギーといってもレベルはいろいろありますし、治療もいろいろです。
このコにどうしてあげることができるのか、症状の度合いや生活環境によってもそれぞれの飼い主さんによって考え方や対処があっていいと思います。
ご自分の愛犬がアレルギーと聞いただけで、治療や食べ物をがらりと変えて気合が入りすぎてしまう方も多く、飼い主さんの中には、かゆみをゼロにしなければ治療が終わらないと思われて、必死になっている方もいますが、私は必ずしもかゆみがゼロでなくてはいけないとは思いません

もちろんゼロに近付けてあげる事は最終目標ではありますが、その目標に執着しすぎてしまうことで、大切な事を見失ってしまうことも多々あります。

このコにどうしてあげることができるのかは飼い主さん家族によってできることも違います。
アレルギーという診断に固執しすぎて、余裕がなくなってしまわないようにして欲しいと思っています。
BSK:
そもそも、食物アレルギーが起こるメカニズムについて、皆さん意外と知らないようです。
ここで少しお話していただけますか?



紺谷先生:
体はとても複雑にできているので言葉だけで説明するのは難しいのですが・・・

例えば、比較的わかりやすい例でいうと、アレルゲンとしてよくあげられるタンパク質は食べ物として体に入ると、最終的にはアミノ酸に分解されます。
1個か2個の分子まで細かくなったアミノ酸は腸壁から体内に吸収され、各地の細胞へ行き渡ります。
これが正常な場合なのですが、もし細かくない状態で吸収されるようなことがあると、体は異物だと判断して攻撃します。これがいわゆるアレルギー反応と言われるものです。

ではなぜ、本来吸収されないはずの大きな塊が吸収されてしまうかというと、腸が何らかの原因で荒れていて、蛋白質が細かく分解される前に大きな形で吸収できるようになってしまっていることが考えられます。

ですから、症状のレベルによっては食べ物を気にする事ももちろん大事にはなってきますが、食べ物だけにこだわるのではなく、体の中から変えていくんだという視点もアレルギーの治療においては必要になってくると思っています。


BSK:
皮膚トラブルは腸の状態と関係すると聞きますが、そういうわけなんですね。



紺谷先生:
腸の荒れの原因は、腸を酷使しすぎていること、つまり食べすぎもひとつの要因ですから、特にトラブルがひどい時には食事の量を少し減らしたり、回数を減らしたりして腸を休めてあげることも考えてみてください。
それと、化学物質などの過剰摂取も腸の状態に影響を与えている可能性があるのではないかと私は考えています。


BSK:
とはいっても、原因除去は考えずに症状だけを抑えるようなお薬を与えるのではなく、なるべく自然治癒の力で治したいとなると、少し時間がかかります。
その間、カユミや引っかき傷などを軽減できるようなサポートをしてあげられたらと思います。
自宅でできるオススメのケアはありますか?


紺谷先生:

私は薬ではなく、身の回りの食材などでする民間医療の手当てもお伝えしているのですが、皮膚トラブルでよいとされるものとしては、しょうがやごま油、青菜、葛などを使った手当、食事をよくお勧めしています。


BSK:
葛は私も使っていました!!
腸の荒れをなくそうということでオススメしていただきましたよね。



紺谷先生:
葛には単に腸壁をコーティングするということだけでなく、荒れ(炎症)を沈める効果もあるんですよ。
しょうがは特に皮膚トラブルにはお勧めで、しょうが湿布を作って患部にあてるなど、炎症を抑えるケアができます。同時に身体を温める効果もあるので血行促進にもなりますね。
青菜もそのまま患部に当てるだけで熱さましになりますよ。これからの時期なら白菜なんかでもいいですね。
ごま油やオリーブオイルは乾燥時期の皮膚に塗布するとフケやカサカサが落ち着きますよ。


BSK:
身近なものでもいろいろあるんですね〜
薬以外のものでも手当てができるなら活用してみたいです!
食材がこんな風に活用できるんですね。


食材として使う場合のオススメはありますか?


紺谷先生:
手作り食の食材として使う場合は、皮ごと食べられる野菜を使うといいですね。
よい皮膚(皮)を作るなら、食べ物も同じように皮ごと食べるという東洋の手当ての考え方です。根菜類は皮ごと食べるようにするといいですよ。栄養学的にも身と皮の間が栄養価が高いともいわれていますしね。
ただし、このような手当てや食事に使う野菜は、やっぱりなるべく無農薬な安心なものを使ってくださいね。

BSK:
やっぱり安心な食材の大切さがここでも関係してくるんですね。
食材以外の手当てとしてはどんなことがありますか?



紺谷先生:
シャンプーも皮脂にこびりついた汚れや雑菌を洗い流すという意味ではよい効果が望まれる事も多いようです。でも、皮脂を取りすぎてしまうようなものは避けてくださいね。
ブラッシングをする時には患部を傷つけないようなブラシを選んで行うといいと思います。

それと、マッサージもいいですよ。
マッサージをしてあげることで、血行も良くなりますし、また、それがひとつのコミュニケーションの時間になりますし、人の手による手当ては気持ちを落ち着けます。
痒がるところを手でマッサージしてあげるだけで掻く回数がぐんと減りますよ。

ワンちゃんの足で掻くよりも、人の手のほうが傷になったりしないですしね。


BSK:
うちのコも、春ごろかなり状態が悪くて、一度先生に診ていただきましたが、今ではすっかりよくなりましたよね?
薬も使わずに、自然治癒の力を信じて一緒に頑張りました!
BSKの4つの柱の通り、よい食事と十分な運動、自然との触れ合い、家族との絆・・・ぜーんぶ実行していたら、時期が来ればきっとよくなると思って、まぁ時にはなんだか不安になる事もありましたが・・・
ちゃんと治す力があることを意識して、それをサポートできるような関係でいたいです。



紺谷先生:
ホントによくなりましたね。正直、初めて診せて頂いた時にはもう少しかかるかなと思ったんですが、思ったよりも早くよくなりました。ヴィジェちゃん頑張りましたね。
一つ一つの症状に振り回されることなく、そのコが持っている力を信じることが大切ですね。
 

BSK:
先日、先生にもご参加いただいた「人と犬との健康を考える勉強会」で、重度のアトピーさんの写真を見せていただきましたよね。
人の体がこんなにもひどく傷付いてしまうことに、私すごくショックを受けました。
でも、体質を改善して見事にキレイになったのを見て、カラダの治癒力のすごさにものすごく感動しました。



紺谷先生:
そうですね。
私もクリニックでの診察の中で、治癒の力を目の当たりにするたびに毎回どの子を見ても感動します。身体の力はすばらしいですね。

BSK:
常に痒がっている愛犬を見ているのは辛いですし、デキモノができたりしたら飼い主さん自身がめげてしまう事が多いと思うのですが、先生の励ましはとても心強かったです。
こういう時に、励ましてくれるような存在って大切だなって思いました。
飼い主さんを不安にさせない獣医さんってなかなかいないですから(笑))



紺谷先生:
飼い主さんを不安にさせないという事でいえば、他にも同じようなコがいるという情報が得られることで、先が見えない不安を抱えることがなくなってくれればと思っていますので、頑張っているコや克服したコの体験談などをお話して、治らない事はないという事もお伝えするようにしています。いろんな方法がある中で、その飼い主さんにできることを提案して差し上げること、それを飼い主さん自身が選択していただくことがとても大切だと思っています。

まぁ、いろいろとお話しましたが、最終的には「丈夫な体を作ることが大事」という事ですね(笑)


BSK:
確かに!!
今日は勉強になりました! これからもよろしくお願いします。



******ペットホテル&クリニック フィルウ *********************

紺谷先生の「フィルウ」は、カウンセリングを主としたクリニックと獣医さんが経営する安心なペットホテル、そしてトリミングサロンも併設しています。
とにかくわかりやすく、丁寧にそのコの症状や対策などをお話してくれるので、満足度が高いですよ!ホテルを利用する時も健康チェックや普段の生活のヒアリングをしっかりしてくれるので安心です。
紺谷先生は手作りごはん推奨派の数少ない獣医さん。
手作りごはんにすると、かかりつけの獣医さんはダメって言うから困っているなんて人も安心です。


ホームページもあるよ!  ⇒ http://www.filou.jp
Pet Hotel & Clinic FILOU
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